明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「直正、面白いか?」
「うん! いっぱい餌を食べたんだよ」
「そうか、よかったな」


信吾さんは直正の隣にしゃがみこみ、同じように池に目をやる。


「直正くん、目元が信吾さんにそっくりですね」
「そうだろ?」


章一さんに即答する信吾さんは、自慢げな顔。


「章一。今しばらく父と母を任せてもいいか?」
「もちろんです。雪解けが来ることを、お祈りしています」
「ありがとう」


信吾さんは入婿なんていう言葉を出したが、それは最終手段で、ご両親と和解したいのだ。
もちろん私もそれを望んでいる。


「おやつは女中に包ませましょう」


どうやら餌やりに夢中でおやつまでたどり着かなかった直正を気遣う章一さんも、信吾さんのように優しい男性だった。
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