明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「八重が本当にお世話になりました」
信吾さんも隣で丁寧にお礼を述べる。
「真田さんはもうお任せしましたよ。直正、また横須賀に遊びにおいで」
「うん! ……あっ、はいだった」
最近になって、一応言葉遣いを気にしだした直正だけれど、失敗だらけ。
その様子に皆が噴き出し、笑顔が連鎖した。
その夜。
黒木家の別邸でそのまま生活することになった私たちは、家に帰った。
直正は緊張や佐木さんに会えて興奮したせいか、帰りの人力車で信吾さんに抱かれたままコテンと眠り、そのまま布団へ。
少しの衝撃では起きないほどぐっすりと眠っている。
「直正、くてんくてんだな」
「そうですね。かわいい顔して眠っています」
彼の部屋でお茶を差し出すと、腕を引かれて隣に座らされた。
「八重も疲れただろう?」
「はい、少し」
白無垢は想像以上に重かったし、やはり緊張もした。
正直に答えれば、彼は私の腰を抱いた。