死者の怒り〜最期のメッセージ〜
思い出したかのように如月刑事が大河を睨む。原刑事も「そういえばそうですね!」と言った。

「実は……」

大河がニヤニヤしながら言うと、如月刑事は「何!?」と顔を赤くし、原刑事がニヤニヤする。男性三人がそんなことを話している間に、藍は黙々と観察を続けていた。

水谷美雪の体には、多数の古傷があった。黒沼純一から暴力を日常的に受けていたのだろうか。そして、逃げるように離婚をしたため恨まれて殺された。

藍はそんなことを考えながら、水谷美雪の火傷をしている手を見つめる。手は固く閉じられていた。何かを握ったいるようだ。

藍は慎重にその手を開いていく。水谷美雪は写真を握っていた。可愛らしい笑顔の女の子の写真だ。

「如月刑事!」

藍は如月刑事に写真を手渡す。如月刑事と原刑事はその写真を懸命に見つめ、「この女の子が誰か調べる」と言った。

そして、水谷美雪の体にメスが入れられる。内臓の重さや胃の内容物を確認していた藍たちだったが、あることに気づいた。
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