死者の怒り〜最期のメッセージ〜
「所長に相談してみるわ」

藍がそう言うと、香澄は「じゃあこっちに来るなら……」と文を続ける。

香澄の送ってきた文に、藍はため息をつきながら返信を返した。



藍は次の日、早速研究所の所長である春川正人(はるかわまさと)に有給休暇がもらえないか相談した。

「いつも霧島さんは頑張ってくださっていますし、問題ありませんよ。ゆっくりしてください」

正人はそう言い、二週間休みをくれた。藍が日頃から休まないため休みが溜まってしまっていたこともあるが……。

「霧島さん、実家に帰るんですか?」

「藍の実家って東北だよね。おいしいお土産よろしく!!」

正人から休みをもらった藍に、研究所の監察医の木下朝子(きのしたあさこ)と研究所にアルバイトで来ている医大生の河野大河(こうのたいが)が話しかける。

「ええ、父が体を痛めてしまったみたいで……。お土産はきちんと買ってくるわ」

藍はそう言い、大河をじっと見つめる。香澄の言ったことを頼めるのは、大河しかいない。
< 2 / 32 >

この作品をシェア

pagetop