死者の怒り〜最期のメッセージ〜
「えっ!?」

集められた三人は驚き、戸惑う。

「そんな!だって……美雪は手足を縛られて空き地に捨てられていたのよ!?絶対にこの男が殺したんでしょ!」

福山美里が黒沼純一を指差す。「俺はやってねぇよ!アイツのことなんかどうだっていいんだ!!」と黒沼純一は言う。

「静かに!!」

如月刑事の一言で部屋は静かになった。如月刑事が藍を見つめ、続きを促す。

「美雪さんは、この場所で自ら首を吊りました。その後部屋に入って来た人物が美雪さんが何者かに殺されたように細工したんです」

藍の目が一人の男性を見つめる。

「そうですよね?一さん」

青野一は顔を真っ青にし、うつむく。如月刑事が話し始めた。

「あなたはこの家に頻繁に出入りしていた。そのため、指紋が出てきても我々は疑いませんでした。しかし、美雪さんの死亡推定時刻の数分後に近所の人があなたを二度もあなたを目撃していたそうですよ。二回目に見た時には大量の荷物を持っていたそうですね」

「俺、この家に来た時にベタベタしたものを踏んだんです。調べてもらったらワインでした。しかも、ぶどうではなくさくらんぼ。あなたはさくらんぼのワインを持って来て、首を吊っている美雪さんを目の当たりにしたんですよね。その時にワインを落としてボトルを割ってしまった。美雪さんの手の中の写真、そして遺書を発見した。しかし、このままではただの自殺と処理されてしまう。そのために手足を縛り、空き地に遺体を捨てたんですね」
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