死者の怒り〜最期のメッセージ〜
藍は無理を承知でお願いする。大河以外に頼める人などいない。藍は久々に緊張を覚えた。

「……いいですよ」

頰を赤くしたまま、大河は微笑む。

「霧島さんのお役に立てるなら、俺はどこにだってついていきます!」

藍は安心し、「ありがとう」と微笑む。大河は「いえ、俺でよければ!!」と部屋へと走って行った。

「……これで、何とかなるわね」

藍は胸もとをギュッと押さえた。



数日後、藍と大河は電車に揺られていた。都会を離れ、景色はどんどん緑に包まれていく。

「霧島さんが東北出身だなんて知りませんでした」

駅弁のシュウマイを口にし、大河が言う。

「両親は、もとから東北に住んでいたわけじゃないの。ずっと都会で暮らしていたんだけど、私が生まれたのをきっかけに引っ越しをしたわ」

藍も駅弁を食べながら答えた。そして、あることに気づく。

「ねえ、私たちはお付き合いをしているという設定よね?」

「は、はい!」

「ならお互いのことは名前で呼びましょう」
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