私の彼は世界一の有名人。〜世界トプ選手との恋愛事情〜
先輩の話を思い出して苦笑する。



ゴロゴロとキャスターが回る音だけが響く。



当たり前だ。



まだまだ早朝と呼ばれる時間だから
バス停に止まるのは
大型のバスだけ。



本当ならお母さんが
送ってくれるはずだったけど
仕事が入ったせいでダメになった。



女優は忙しいから仕方ない。



バス停に着く。



キャリーケース重すぎ。



腕時計を見るとバスのつく5分前。



ありゃ、早かっ....た.....。



目の前に赤い車が止まる。



見た事のある、
いや、見慣れた車。



中は左にハンドルがあって、
革張りのシートで、
後部座席は一切なくて
オープンカーにもなるその車は



つい数ヶ月前には、毎日乗ってた車。



見なくたって中の作りを
未だに簡単に思い出せる。



その車から降りてきたのは



「....レオ」



大きな体に
つい数ヶ月前より濃ゆくなった髭。



美しい金髪も短く切りそろえてあって
イケメンは健在だ。



久々見るレオに心臓が痛いほど音を立てる。



「ど、どうした.....え!?」



降りて来たレオはそのまま私の手にある
キャリーケースを取る。



「え、れ、レオ?」



『送る』



『え、で、でも、』



話を聞かずにレオはキャリーケースを
後ろに積んでしまう。



おろおろしているわたしとは裏腹に
さっさと車に乗り込む。



あぁ、これは、



機嫌が悪いのかな。
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