私の彼は世界一の有名人。〜世界トプ選手との恋愛事情〜
『乗れ』



『遠いよ?』



『構わん、ドライブのついでだ。』



『....そう。』



窓を閉められ譲る気がないのがわかる。



大人しく車に乗り込む。



あ、レオの、香り。



甘いような、でもサラッとしているような
柑橘系の香り。



車に染み付いているこの香りは
今までの日々を思い出させる。



久々だな、レオの車。



チラリと横を見ると
レオの整った横顔が見える。



この運転している横顔も
この革張りのシートも
このスピードで過ぎ去る景色も



すべて、当たり前だったのに。



いつの間にか、



この手のひらから滑り落ちいる。



『最近、調子はどうなの?』



『なかなかいい。
今度のトップリーグも上手くいく。』



『.....そう。』



やっぱり、居なくていいじゃん。



ギュッと膝に乗せているカバンを握る。



あんなの、虚言だったんだ。



『4年間、帰ってこないのか』



『え?あー、いや、
帰ってくると思うよ。夏休みとかに』



レオに合わないようにね。



その言葉は飲み込んで
心の中に閉まっておく。



『そうか』



『うん。』



こんなに、息苦しく無いはずなのにな
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