私の彼は世界一の有名人。〜世界トプ選手との恋愛事情〜
タクシーに乗り込みながら
まだ周りにいた人に手を振る。



『何処まで?』



『ハウスクリット合宿所へ』



カチンと音がして車が走り出す。



懐かしい。



この空気もこの日差しも。



日本にはない、真逆の気候の
ニュージーランド。



『あんた、今年も選ばれたのかい?』



『いえいえ、まだ選考会ですよ』



『それでもすげーじゃねーか!』



『ありがとうございます。』



『日本に行った時は
ニュージーランド中がガッカリしたぜ!』



『それは、すいません。』



『いいってことよ!』



通り過ぎる景色を見る。



あぁ、帰ってきた。



この、



ラグビーの聖地へ。



俺の、



生まれた地へ。



ここに、千夏がいたなら



そこまで考えて頭を振る。



自分ながら女々しいぞ。



さすがに千夏でも合宿所に
連れてきたら怒られるだろ。
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