My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
思わず間抜けな声が出てしまった。
ドナは思いつめた表情で更に続ける。
「恋人って、好き同士がなるもんだろ? カノンはあいつのどういうところが好きになったんだ?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って! あいつって、」
「ラグだっけか? そこにいる。どうして好きだって思ったんだ?」
頭の中で何かが大爆発した気がした。
「ち、違う違う違う!! 私とラグはそんなんじゃないって!」
セリーンが面白がるような目でこちらを見ていて、更に顔が熱くなる。
「え?」
「だから、私とラグはそんな、こ、恋人なんかじゃなくって――」
そこで、ひょっとしてこの会話はドアの向こうに丸聞こえなのではないかと気づき慌てて声を抑える。
「だから、好きとかそんな気持ちはお互い全然無くって、ただ一緒に旅してるだけの、仲間っていうか」
ドキドキと心臓の音がやけに煩い。
(こんな話、ラグが聞いてたら大変だよー!)
嫌そうな顔がありありと目に浮かぶ。
「なんだ、そうなのか。アタシてっきり……」
私は何度も力強く頷く。
「ごめんな。ほら、アタシこんなふうに同じ年くらいの女の子と話すことってほとんど無いからさ、訊いとかなきゃと思って」
恥じるように笑ってドナはもう一度私を見た。
「じゃあ今好きな人はいるのか?」
その真剣な瞳にどきりとする。