My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
「ドナはそれでいいの?」
「……あぁ。きっとツェリもアタシのことなんかすぐに忘れるさ。珍しかったんだろ、アタシみたいなのがさ。王子様なんて相手は選り取り見取りなんだろーし、その中の一人になるなんてのは絶対に嫌だしな」
「…………」
「それにアタシには家族がいる。こいつらが居てくれれば寂しい気持ちもすぐに消えるさ」
モリスちゃん達を横目で見てから、ドナはむくりと起き上がった。
「なぁ、カノン。頼みがあるんだ」
「何?」
「歌ってくれないか?」
「!」
「結局アタシ、まだカノンの歌聴いてないだろ? なんか目が冴えちまってこのままじゃ眠れなさそうだし、モリスと同じ子守唄歌ってくれないか?」
「う、うん、いいんだけど、その、」
――どうしよう。
モリスちゃんのときと同じように目を瞑ってもらえればいいだろうか。でも。
「ん?」
笑顔で首を傾げるドナ。
――もう、ドナに嘘は吐きたくないと思った。
ドナなら、おばあちゃんがセイレーンだったのなら。きっと――。
セリーンの方をちらりと見ると、彼女は優しく微笑んでくれた。
思い切って口を開く。
「ねぇ、ドナ。おばあちゃんてセイレーンだったんでしょ?」
「あぁ。カノンもそうなんだろ?」
「……あのね、ドナは“銀のセイレーン”って聞いたことある?」
「銀の? ――あぁ、あの伝説のな。知ってるよ」
「あ、あのね、」
「知ってるっていうか、ばあちゃんがその銀のセイレーンに会ったことがあるって言ってた」
「え!?」
私は思わず大きな声を上げていた。