My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3

 それは歓声だった。目は子供のようにキラキラと輝いていて、その手が先ほどの自分のように微かに震えているのを見た。

 ここまで喜んでくれるとは思わなくて、嬉しいのに逆に少し申し訳ない気持ちになってくる。ドナのおばあちゃんが会ったという銀のセイレーンは、もっと伝説になるに相応しい人物だったかもしれない。

「や、でも私そんな大した力無くって、ただ歌うと髪の毛が銀になるってくらいで」
「あ、それもばあちゃん言ってたぞ! 普段は黒髪なのに歌ったときだけ銀色に変わるんだって!」

 そこではっとする。

「本当にそんな不思議なことが起こるんだな。やっぱすっげぇな銀のセイレーンって!」
「ドナ!」
「え?」
「他には? 他にはどんな人だったっておばあちゃん言ってた?」

 ――そうだ。これはまだ謎の多い“銀のセイレーン”について知れるまたとないチャンスではないか。

「目の色とか、どんな服装だったとか、あとどんな世界から来たって聞いてる?」

 訊きたいことがたくさんあり過ぎて思わず早口でまくし立てると、ドナは慌ててしまったようだった。

「え、えーっと、ちょっと待ってくれな」

 それでも真剣に思い出そうとしてくれるドナ。
 私だけじゃなく、セリーンもその答えを待っているように見えた。しかし。

「うー、悪い。子供の頃に聞いた話だから細かいとこまでは覚えてなくってさ」
「そっか……、ううん、こっちこそごめんね一気に訊いちゃって。どんな人だったのか気になって」
「あ!」

 そのときドナが声を上げた。
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