My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
そして、私たちは子供たちと共に今度こそ休むことにした。
元々そこまで広くないツリーハウスの中は、私、セリーン、ドナが横になるともう一杯一杯で、お互いの顔がすぐそこにあった。
目が合って、思わず笑い合う。
「今日は、なんかすげぇ日だったな」
「うん。私もこの島に着いたのが今日のことだなんて信じられない」
「カノンたちは明日、あのモンスターに乗って行くんだろ?」
「うん、ビアンカっていうんだけど、彼女に乗って行けば多分あと二日くらいでクレドヴァロール大陸に着いちゃうと思う」
「すっげーなぁ。アタシこの島から出たことないからさ、外の世界ってどんなとこなんだろうっていつも考えてるんだ」
「私も、元いた世界では島国に住んでてね、そこから出たことなかったんだ。この世界に来てからだよ、こんなに色んな国を旅するの」
「カノンの世界ってどんなとこだ? やっぱこことは全然違うのか?」
「えっとね」
私はゆっくりと話していく。
術のような力は存在しなくて、でもその分科学というものが発達していて、色々なことが便利になった世界だと。
「それと、歌で溢れた世界、かな」
「歌で……か。ばあちゃんもカノンの世界にいたら、もっと好きに歌えてただろうにな」
「うん。この世界もね、いつか歌で溢れる世界になったら素敵だなって思うんだ」
「そうだな。でもそうなったら、なんかアタシ踊り疲れそうだ」
そして私たちはまたくすくす笑い合う。
「さ、話は尽きないだろうが、そろそろ眠らないと明日体が持たないぞ」
そんなセリーンの声が無かったら、本当に朝までずっと話し込んでいたかもしれない。
私は二人におやすみを言って、ようやく目を閉じた。
するとじきに睡魔がやってきて、呑み込まれるようにして眠りについたのだった。