My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
「え、金髪ってそんなに珍しいの?」
「この世界じゃ金髪の人間は希少でその大抵が高貴な存在だ。国によっては金髪ってだけで王になれたりする」
「王に!? ……そっか、だからあんなに噂になってたんだ」
あの雑貨屋の主人も、どこかの貴族のおぼっちゃんかもしれないと言っていた。クラヴィスさんもその人物に興味があると言っていたではないか。
「ん? ってことは、エルネストさんって高貴な人かもしれないってこと!? それこそ王様とか!」
「さぁな。俺の知る限りじゃそんな名前の王はいねぇが」
ラグがさも嫌そうに言う。逆に私は妙に興奮していた。
(だってエルネストさんが王様!? なんてぴったりなんだろう!)
王冠を頭に乗せた彼がすぐに脳裏に浮かび、その彼がにっこりと微笑んでくれた。
危うく顔が緩みそうになったが、すぐにいけないと我に返る。
「でも、もし本当にそうだったらきっとその国じゃ物凄い騒ぎになってるはずだよね」
「普通はな。隠してる可能性もある」
「そっかぁ……」
結局、謎な人には変わりないということだ。
ラグの言うとおりこれから行く先に本人が居ることを願うしかない。――と、そこで私は気付く。
「あれ? ちょっと待って、ここって」
山の中はどこも同じような風景だったが、この場所には確かに覚えがあった。ここは、つい数時間前に例のモンスターに遭遇した場所ではないか。