My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
5.金髪の彼
胸がざわついた。
ゆっくりとラグを見上げる。彼は金髪の彼を睨み据え更に言った。
「なんでわかったって訊いてるんだ」
だが金髪の彼はあっさりと視線を外し、
「さぁ、なんでだろうね」
そう、酷くそっけなく答えた。ラグが拳を強く握り締めるのを見てまたも緊張を覚える。――と。
「なんでだろうね、じゃないだろ!」
その怒鳴り声に金髪の彼はびくりと身体を強張らせた。その声の主はラグでは無く、ドナだ。
「ちゃんと答えてやれよ! カノン達はモリスを助けてくれたんだぞ。知ってることがあるなら教えてやれって!」
まるで弟を叱るかのように怒るドナに私は驚く。
私も最初ドナを怒らせてしまったが、彼女は金髪の彼に対しても容赦ないみたいだ。
更に驚いたことに言われた彼は見てわかるほどに肩を落とし、拗ねるように口を尖らせた。
「わかったよ。ドナがそう言うなら……」
そして彼は今度はちゃんと視線をラグに向けた。ドナは腰に手を当て満足げに頷いている。
「そのエルネストって金髪の男は本当に知らないよ」
「……そうか。それで、この呪いのことはなんでわかったんだ」
「それは……」
彼が答えかけたその時だ。
「ドナ姉ちゃん!」
背後で突然上がったその声にびっくりして振り向くとそこにはアドリー君とリビィ君がいた。