My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
「おい!」
完全に話を折られたラグが苛ついたように声を掛けるが、二人とも振り返りもしないまま森の中へと消えていってしまった。
「クッソ!」
苛立ちをぶつける様に地面を強く踏みつけるラグ。
折角呪いに関しての情報が手に入りそうだったのだ、無理もない。
だがドナ達の方も気になった。
もう日が沈んだのだろう、すでに空には星がちらつき始めていた。
「ねぇ、なんでトム君は街に行ったの?」
肩を落としながらツリーハウスへ戻ろうとしていた二人に訊く。
「……謝りに行くって」
先に応えてくれたのはリビィ君だ。
「謝りに?」
「お菓子を盗んだことを謝って、もうここに来ないように頼むんだって言ってた」
後を続けたアドリー君のその言葉に、はっとする。
「街のお菓子を盗んでたのはトム君なの?」
「うん。モリスがお菓子が食べたいって。でも僕たちそんなお金持ってないから……」
肩を震わせ言うリビィ君。
――なんとなく、事情が把握できた気がした。