My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
モリスちゃんの兄であるトム君が妹のためにお菓子を盗み、しかしそのせいで自警団がここに来てしまった。モンスターのお蔭で撃退は出来たもののモリスちゃんが怯え眠れなくなってしまった。
それでトム君がもうここには来ないで欲しいと謝るために一人街に下りた。だが、帰ってこない。
ドナも何のために彼が街に下りたのかすぐにわかったのだろう。
昼間、決闘で大いに盛り上がっていた街の人達。そしてモンスターに返り討ちにされた自警団。
どう考えても、謝るだけで許してくれるとは思えなかった。
私は彼らに笑いかける。
「教えてくれてありがとう。きっとドナ達がなんとかしてくれるよ。だから二人はモリスちゃんの傍にいてあげてね」
そう言うとアドリー君とリビィ君はしっかりと頷き、ツリーハウスへと戻って行った。
「ねぇ、ラグってどこまで聞いてたの? あの自警団のおじさんに」
二人がドアを閉めるのを確認してすぐに私はラグに訊く。
「あ?」
「だって、お菓子を盗んでたのが子供だってことも知ってたみたいだったし」
「あぁ、子供の集団に返り討ちにあったなんて知られたら自警団の面子に関わるから黙っていてくれだとよ」
鼻で笑いながらラグが言う。
「面子って……。それで、結局ラグはあの人に何を頼まれたの?」
「モンスターの始末」
予想出来たこととは言え、さらりと言われ息を呑んだ。