My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
ドナ達を懸命に護り、一度でも美しいと思ったあの“ツェリ”と呼ばれたモンスターをラグが殺す。……そんな情景が一瞬頭に浮かび、慌てて打ち消した。
金髪の彼に会うことが出来、再び戦う必要も無い今、もうラグにその依頼を受ける気は無いはずだ。
「ドナ達のことは?」
「オレが言われたのはモンスターを始末してその証拠を持ってこい、それだけだ。その後は自分たちでどうにかするつもりなんだろーよ」
「どうにかって……」
彼らがモンスターという脅威の無くなったこの場にもう一度乗り込んでくるつもりなのだろうことは容易に予想出来た。
そして、面子を守るために街の人達には盗賊が子供だったという事実は隠し通すだろうことも。
「もしかして――」
「ここにいる奴ら全員、自分たちで始末するつもりだろうな」
「そんな……っ」
――確かに、どんな理由があったとしても泥棒はいけないことだ。でも……。
「おい、お前まさか」
唇を噛んで彼らが消えて行った森の方を見つめていると、そんなすこぶる嫌そうな声が降って来た。
私は意を決し彼を見上げる。
「私たちも街に行こう! 何か手助け出来るかもしれない」
「やっぱりかー!」