My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
「……」
その沈黙にまた彼の逆鱗に触れてしまったかと焦った頃、彼は口を開いてくれた。
「そのまんまだ。普通の奴なら間違いなく死んでるだろうよ」
「うそ!?」
「嘘ついてどうすんだ。オレも死にかけたからな」
(そんなに、大変だったんだ……)
だから彼はその呪いをこんなにも嫌悪しているのだろうか。
見た目が可愛いからと言って今まで軽視し過ぎていたかもしれない。
「ごめんね、私――」
これまでのことを謝ろうとした、そのときだ。
ガサガサっとすぐそこの草むらが激しく揺れぎょっとする。
ラグがすぐさま私の前に出てくれた。ブゥもその頭から再び飛び立ち同じ方向を見据えた。
(まさか、モンスター!?)
ラグはまだ小さいまま。こんなときにモンスターに襲われたら。――だが、聞こえてきたのはモンスターの唸り声ではなく、
「――だから、駄目だって、ちょ、うわっ!」
「こんな久々のチャンス逃してなるものかああああ!!」
草むらを割ってこちらに飛びかかってきたのは、夜目でもわかる赤毛の――。
「セリーン!?」
「なん、お前っ、ぎゃあああああああ!?」
そして、思いっきり羽交い絞めにされたラグの怒声交じりの悲鳴が山中に響き渡った。