My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
6.誤解
「あーあ、結局見つかっちまったかー。それとな~く合流するつもりだったのによ~」
「アルさん!」
続いて茂みからバツが悪そうに姿を現したのはアルさんと、そして――。
「お前らどういうことだ! オレはついてくるなって」
「あぁ~やっと逢えた~やっと逢えたぞ~」
「お前はまず放せこの変態! おいアル聞いてんのか!?」
非常に怒っているのはわかるのだが例によって全く迫力の無いラグと、声も顔も完全に緩みまくっているセリーン。そしてそれを羨ましげに見下ろすアルさん。
ラグと同じくなんでこの二人がここにいるのか気にはなったが、それ以上に気になったのは。
「アルさん」
「ん?」
「その子、誰ですか?」
私はアルさんのすぐ後ろを指差し訊いた。
暗くて良くは見えないが、そこには今のラグと同じくらいの背格好の少年がいた。
ラグ達の方をぽかんと見つめていたその子は私の視線に気がつくとぱっと顔を伏せてしまった。
「あーそうそう、こいつな。こいつが例のお菓子泥棒」
「え!?」
ぽんとその子の頭に手をやりアルさんは続ける。
「でももう反省して、謝りに行くつもりなんだよな」
「じゃあ、やっぱりトム君なの!?」
「え? なんで俺の名前……」
トム君が不思議そうにこちらを見上げた。