My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
と、突然ルルデュールがさも可笑しそうに声を上げて笑った。
「全っ然意味わかんないんだけど! ふっふー、……でもさ」
そこでぴたりと彼は笑うのを止めた。
「邪魔する気なら今度こそ殺しちゃうよ?」
――子供の声なのに、いや、子供の声だからなのだろうか、背筋が凍るような冷酷さを感じた。
そして離れていてもわかる、あのぎょろりとした恐ろしい目。
(あんな目、子供のする目つきじゃ……)
そのとき私の身体を支えてくれているラグの腕に力が入った。
見上げると、彼は険しい表情で少年の方を睨みつけていた。
(ラグ?)
いつもの彼なら怒声の一つも上げそうなものなのに……。
「はは、殺されたくはねぇな」
アルさんが至って穏やかな口調で続ける。
「とりあえず一度降りねーか? 風の中じゃお互い喋り難いしよ」
「ボクはこれ以上おじさん達とお喋りする気無いんだけど。こんな仕事、さっさと終わらせて帰りたいんだよね」
ルルデュールは言いながら山の方を一瞥し、そこで視線を止めた。
「……わかったよ、山を燃やすのは止めてあげる」
「!?」
突然の止める宣言に皆驚く。
少年がこちらを見て、さも嬉しそうに笑った。
「エモノ、見つけちゃったもんね!」
直後こちらに背を向け凄まじい速度で飛んでいく彼を目で追い、気付く。
彼の向こうに聳える山、黒い樹海の中に一点の小さな光。
それはドナ達のツリーハウスから漏れる灯りに違いなかった……!