西校舎の佐倉くん
そしてその噂は、1組のクラスメイトたちによって広まり、拡散されたそれは学校中を賑わせた。


今じゃ外部の中学校なんかにも広まって、たまに興味本位で高校を見つめる中学生を見かけるようになった。



「ねえ薙原さん、」


ふと──例の噂を聞き出したあの女の子、高野さんが声をかけてきた。



「どうしたの?」


「今日ね、夜肝試しするんだけど、薙原さん一緒にどうかな、って」


「なんで私?」



喋ったのなんて、今がほぼ初めてみたいな仲なのに。



「薙原さん、怖いの平気そうじゃん?ほら、噂のことも気にしてなさそうだし」



───人並みに怖いんだけどね。
噂にも興味あるし。




「・・・いいよ、行く」


「ほんと?!やったぁ、じゃあ連絡先聞いてもいい?」


「うん」



こうして私は、西校舎に足を踏み入れることになったのだけど。

これをキッカケに、出会ってしまうなんて思わなかった。



本当の恋に。切ない愛に。

< 3 / 27 >

この作品をシェア

pagetop