月夜に笑った悪魔
暁はもしかしたら学校に来ていないかもしれない。
私に傘を渡して、どこかへと行ってしまったから。
ゆっくりドアを開けてみれば……確かに、いた。
ソファに横たわって、目を閉じている暁。
現在の彼は濡れていないから、きっと1回帰って着替えたんだろう。
っていうか……寝てる?
ここで寝てるってことは、もしかして授業サボってた?
できるだけ音を立てないようにドアを閉めて、中へ。
湿気で蒸し暑い室内。
今日は、冷房がついてない。
一歩ずつ彼へと近づいて、なんとなく彼の前でしゃがみこんだ。
顔色は、朝よりぜんぜん良くなってる。
あの時は本当に具合が悪そうに見えたけど……どうしたんだろう。
じっと見つめるけど、わからない。
……それにしても、やっばり整った顔だなぁ。
寝顔はどこか幼く見えるような。
あ、そういえば、よく忘れかけるけど暁は年下だっけ。
その幼い顔を見れば、少し落ちついてきた心。
暁が起きたら、和正から手紙をもらったことを一応言ったほうがいいのかな。
いや、でも……言わないほうがいい?
手紙をもらったからといって、どうせ和正とはもう会うことはないし……。
……言わなくてもいいか。