月夜に笑った悪魔


暁はもしかしたら学校に来ていないかもしれない。
私に傘を渡して、どこかへと行ってしまったから。


ゆっくりドアを開けてみれば……確かに、いた。




ソファに横たわって、目を閉じている暁。
現在の彼は濡れていないから、きっと1回帰って着替えたんだろう。


っていうか……寝てる?
ここで寝てるってことは、もしかして授業サボってた?



できるだけ音を立てないようにドアを閉めて、中へ。




湿気で蒸し暑い室内。
今日は、冷房がついてない。


一歩ずつ彼へと近づいて、なんとなく彼の前でしゃがみこんだ。


顔色は、朝よりぜんぜん良くなってる。
あの時は本当に具合が悪そうに見えたけど……どうしたんだろう。


じっと見つめるけど、わからない。


……それにしても、やっばり整った顔だなぁ。
寝顔はどこか幼く見えるような。
あ、そういえば、よく忘れかけるけど暁は年下だっけ。



その幼い顔を見れば、少し落ちついてきた心。


暁が起きたら、和正から手紙をもらったことを一応言ったほうがいいのかな。


いや、でも……言わないほうがいい?
手紙をもらったからといって、どうせ和正とはもう会うことはないし……。


……言わなくてもいいか。

< 101 / 615 >

この作品をシェア

pagetop