月夜に笑った悪魔
な……!?
起きてた!?
噛まれたのは一瞬。
すぐにやめてくれたから、すぐに手を引っ込めた。
指に残る噛み跡。
離されても、ジンジン痛む。
「そこはキスで起こすとこだろ。せっかく待ってたのに」
暁は、不満そうな顔。
き、キスで起こすって……!
待ってたってことは、狸寝入りだったんだ!?
「そんなことするわけないじゃん!」
「今度からよろしくな」
「しないってば!バカじゃないの!?」
言った後に、後悔。
ちがう、私はそういうことが言いたかったわけじゃない。
仕返しは失敗しちゃったけど、謝ろうと思ってたんだ。
「や、やっぱ、今のナシで……!」
慌ててさっきの言葉を取り消し。
それから、私は。
「あの……ごめん」
ちゃんと彼に謝った。
けれど……。
「なにが?キスできなくてってことかよ?」
急に謝ったから、何に対しての謝罪だかわかっていない様子。
キスのことなんかじゃない。