月夜に笑った悪魔


「な、なにするのさ……」


乱された髪を手ぐしで整える。


「安心しろよ。俺は素の美鈴が好きだし、この先おまえのことを嫌いになることもねぇから。俺は一途なんでね」


優しい声。
優しい瞳。

目を見つめられて、心臓がドキッとする。




……なんで、そんなふうに言い切ることができるのか。
私なんて、何の魅力もないのに。
好きって毎日言っても、ある日突然気持ちが変わることだってあるのに。



でも……この瞳を見ると、なぜか信じたいって思ってしまうのはなんでなのか。


ただ目を合わせていれば、続けて彼は口を開く。


「おまえは普通にしてろ。変にキャラ作んなくていいし、謝りたくないのに謝んなくてもいい。
つーか、そもそも昨日のは俺が悪かったんだし」
「……その通りだよ。わかってるじゃん」


変にキャラを作らないでいいと言われた瞬間、つい口に出る。


暁の前だとすぐに素の自分が出てしまう。
歳が近いからだろうか。

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