月夜に笑った悪魔
「やった!じゃあ行こっか!」
握手して、まだ離されない手。
その手を引っ張られて、足を動かす。
な、なんだこの手は……。
手を繋いでおく必要なんてないんじゃ……。
それは気にしていたが、言う暇もなく。
すぐに台所へと到着。
台所に来れば蒼真さんは手を離して電気をつけて。
テキパキとお茶の用意をしてくれて、コップを私に渡してくれた。
水道水でぜんぜんよかったんだけど、なんか用意までさせて申しわけない……。
「すみません……。ありがとうございます」
お礼を言って、お茶を喉へと流し込む。
「名前呼び捨てでいいし、敬語とか使わなくていいよ。歳、そんなに変わらないだろうし」
穏やかで、柔らかいオーラを放つ蒼真さん。
……本当にいい人だ。
歳がそんなに変わらないってことは、何歳なんだろう。
少し年上くらいに見えるけど……。
「じ、じゃあ、お言葉に甘えて。蒼真さん──蒼真は、何歳なの?」
さっそくタメ口で話させてもらうことにして、疑問に思ったことを聞いてみると。
「17歳。こう見えても高2だよ」
微笑んで答えてくれる。