月夜に笑った悪魔
高2って……
「……同い年じゃん。年上かと思った」
暁といい、見た目と年齢には驚かされる。
そういえば吉さんは何歳なんだろう。まだ聞いてないや……。
疑問に思いながらも再びコップに口をつけて、残りのお茶を一気飲み。
「美鈴ちゃんさー……、どう?暁より俺にしない?」
ぜんぶ飲み終わったあと、聞こえてきた声。
私は、その言葉に耳を疑った。
ど、どう、とは……?
「暁じゃなくて、俺の女にならない?俺、暁より優しくするよ。
美鈴ちゃんの望むことなんでもしてあげるし、望むものもなんでも買ってあげるから」
首を傾げていれば、続けて口を開いた彼。
飲み終わったコップを私から奪うと、それをシンクに置く。
な、なんだ、急に……。
これは……冗談、だよね?
だって蒼真は、私と暁の関係を知ってるし、暁の補佐だし……。
にこりと笑うその表情からは、本心は読み取れない。
「……あはは」
なんて返せばいいのかわからなくて、ただ笑って返す私。
ここでなんて返すのが正解なのか。