月夜に笑った悪魔
「あー……、わりぃ」
彼の長い人差し指が、私の首に。
つぅっとその雫を拭う。
それだけ、なのに……。
「ひゃっ……」
ゾクゾクして、またまた変な声が漏れてしまう。
ここだけの話、私は……首が弱かったりする。
それも、ものすごく。
……暁はただ拭いてくれただけなのに、恥ずかしい。
彼は少し驚いた表情をして。
あとに、私の首元にまた人差し指をゆっくり滑らせた。
「やぁっ……」
ゾクゾクして、肩が上がる。
声はどうしてもおさえられない。
「……首、弱いんだ?」
私の反応を見て、口角を上げる彼。
「か、風邪ひくから早く髪乾かしてきなよ!」
私は誤魔化すために彼の胸を押して、距離をとる。
このまま近くにいれば、遊ばれることまちがいなし。
遊ばれてたまるか……!
「もっと一緒にいねぇの?」
本当に、髪を乾かさないと風邪ひくのに……。
まるで、もっと一緒にいたい、とでも言うように見つめてくる。