月夜に笑った悪魔
指を絡めない、普通のつなぎ方。
少し強く握れば、さらに強く握り返してくれる。
……温かい。
……なんか、頑張れそう。
「じゃあ、また放課後」
教室まで到着するのはあっという間。
相変わらず暁は校内で目立っていて、たくさんの人の視線を集めてる。
「おう」
「留年するから暁もちゃんと授業受けたほうがいいよ」
「……じゃあな」
「返事は……?まぁいいけど、本当に留年しても知らないからね」
暁はひらひらと手を振って、すぐに去っていく。
私は、その背中を見送った。後ろ姿が見えなくなるまで……。
それから教室に鞄を置いて、授業開始のチャイムが鳴る前に教室を出た。
昇降口へと行って、そこで靴を履き替えて、外へ。
私は、全速力で走った。
向かっているのは……前に和正と住んでいた、マンション。