月夜に笑った悪魔
新しい人生
眩しい光で目が覚めた。
なぜか急に、ズキズキと痛む頭。
……うぅ、なにこの痛み。
まさか、風邪でもひいた?
頭をおさえながらゆっくり起き上がる、と。
体が凍りついたように動かなくなる。
私は、明らかに自分のものじゃない浴衣を着ていて……
隣に敷いてある布団には、黒髪の男性が全裸で寝ているんだから。
それだけじゃない。
布団をちゃんとかけていない黒髪の男性の……見えてしまった背中。
その大きな背中には、虎と桜の刺青。
この人は、“普通じゃない”とすぐにわかる。
背中にこんなものを入れるなんて、絶対、危ない人だ。
……ヤクザ、とか。
「…………」
どうしよう、本当にヤクザだったら。
私、そんなやばい人と……しちゃったの!?
っていうかなにがどうしてこうなったの!?
本当に、私、この人とした!?
頭は痛いけど、体はどこも痛くない気がするんだけど!?
それからここはどこで、私の服はどこ!?
きょろきょろとまわりを見る。
今いる部屋は、和室。
布団が2組敷いてあるだけで、この部屋に家具はない。ただ部屋の隅のほうに大きめの黒い鞄が置いてあって、私の制服はどこにも見当たらなかった。
ここは……旅館?
でも旅館にしては物が少ないし……。
もしかして、この男性の家!?