月夜に笑った悪魔


「美鈴ちゃんはいずれは知ることになるだろうし、言ってもいいか」


ひとりごとのように呟いたあと、蒼真は続けて口を開く。






「月城組っていうのは、日本のヤクザの中で最も大きな組でね。その月城組と、一条組には昔から深い因縁があるんだ。
それである日……暁の母親が、月城組に殺されたんだよ。あと父親──組長は、月城組に襲撃されて今も植物状態なんだ」



心臓が、ドクリと音を立てる。

……聞いただけで、胸が苦しくなった。


月城組が、そんなにやばい組だったなんて。
その組と、一条組が……。


一条組の組長のこと、前に暁に少し聞いたことがあったけど彼は『組長はいま家にいない』と言っていたような。
……いないって言った理由は、こんなことがあったからだったんだ。



「どっちも、暁の目の前で起こった事件なんだ。だから、暁は月城組を強く恨んで……復讐しようとしているんだよ」


さらに、衝撃的な言葉。


暁は、両親を目の前で……。


私は両親を失った身だから大切な人を失った痛みはわかるけど……目の前でそんなことをされれば、もっと痛くて苦しいのではないか。

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