月夜に笑った悪魔


「あぁ、この子は妹の桐生 千梨(きりゅう せんり)。
それから……そこでお菓子食べてるのが、もう1人の幹部の胡桃 絵音(くるみ えのん)」


女の子、それから椅子に座っている男性、と順番に教えてくれた。


「よろしくお願いします!」


頭を下げる女の子──千梨さん。


蒼真と兄妹なんだ。
兄妹そろって美男美女なんてすごい。


座ってお菓子を食べているピンク髪の男性──絵音さんは、ふわふわとした雰囲気を纏う人で。
紹介されれば、お菓子の袋を持ったままこっちに来て「仲良くしてね~!」と笑顔でピース。


私より身長が低い絵音さん。


みんな可愛いしかっこいいしで……なんかこの部屋、顔面偏差値がものすごく高いような。
なんか、みんな輝いて見えるよ……。




「日南美鈴です。こちらこそよろしくお願いします」


私は急いでぺこりと頭を下げた。


「いいよいいよ、そんな~!みんな歳近いし気楽にしよ、気楽に!敬語やめよう!」


明るく言ったのは、絵音さん。
ゆっくり顔を上げれば、手に持った袋からお菓子を取り出して、それを私の口にひとつ入れた。

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