月夜に笑った悪魔
*
ふと、髪に触れられているような気がして目を開けた。
「寝てた!?」
ぱっと体を起こして、思わず出てしまった大きな声。
あ、やばい、暁を起こしちゃう……!
声が出た直後、すぐにベッドに横たわる彼へと目を向けると。
聞こえてきたのは、笑い声。暁は、私を見て笑ってた。
……起きてた。
いつ起きたんだろう……っていうか、私、本当に寝てたんだ。
起きるまで待ってようと思ってたのに、寝てたとか恥ずかしすぎる。
……私、いびきとかかいてなかった?
あ、髪!髪とかぼさぼさなんじゃ!?
慌てて髪を手ぐしで整える。
「おまえ元気だな」
暁は私に手を伸ばすが、その手は途中で力なくベッドに落ちた。
……麻酔がまだ切れてないのかもしれない。
「そ、それはもう、私はいつも元気もりもりで……。それより暁は……大丈夫?」
暁になにも言わずに私が勝手な行動をして捕まり、助けに来てくれた彼に負わせてしまったケガ。
ちらりと彼を見るが、「へーき」とひと言返された。