月夜に笑った悪魔






ふと、髪に触れられているような気がして目を開けた。


「寝てた!?」


ぱっと体を起こして、思わず出てしまった大きな声。


あ、やばい、暁を起こしちゃう……!


声が出た直後、すぐにベッドに横たわる彼へと目を向けると。
聞こえてきたのは、笑い声。暁は、私を見て笑ってた。


……起きてた。
いつ起きたんだろう……っていうか、私、本当に寝てたんだ。


起きるまで待ってようと思ってたのに、寝てたとか恥ずかしすぎる。


……私、いびきとかかいてなかった?
あ、髪!髪とかぼさぼさなんじゃ!?


慌てて髪を手ぐしで整える。



「おまえ元気だな」


暁は私に手を伸ばすが、その手は途中で力なくベッドに落ちた。

……麻酔がまだ切れてないのかもしれない。


「そ、それはもう、私はいつも元気もりもりで……。それより暁は……大丈夫?」


暁になにも言わずに私が勝手な行動をして捕まり、助けに来てくれた彼に負わせてしまったケガ。


ちらりと彼を見るが、「へーき」とひと言返された。


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