月夜に笑った悪魔


いや、元は私が悪いんだけど……!
私が勝手な行動したのが1番いけないんだけど!


き、キスは……暁がしたいだけ、なんじゃ?




「今は安静にしてたほうがいいんじゃない?」


なんとかキスではないものにしてもらおうと、とりあえずそう言ってみるが……。


「そんな激しいキスするつもりなのかよ」


彼はまたまた笑う。


「なっ!?」
「キス1回でぜんぶ許す」


「……っ」
「どうする?」


じっと目を見つめられる。


気のせいか、彼は楽しそうな表情。
って、絶対気のせいじゃない!




本当ならここで『もう帰る』と言いたいところだけど、私がしたことはひどいことだし……全面的に私が悪いし。


どうしよう……。
キス1回で許してもらえるのなら……いいの、かな。


キスって言ってもほんのちょっと、一瞬だけ触れるだけでいいんだよね……。





「……わかった」


小さく返して、私はベッドの脇にしゃがみこんだ。

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