月夜に笑った悪魔


何度も言うが、暁は私のどこを好きになったのかさっぱりわからない。


わからないから、こんな考えに至ったわけ。


……聞くのは怖い。
怖いけど、聞かないと。





もし私のことを本当に好きじゃないんだったら……もう一緒にいるのはやめよう。


私は幸せになりたかった。
だから暁といるけど……私のことが好きでもなんでもないのなら、これ以上一緒にいても絶対に2人とも幸せになんてなれない。


仮に一緒にいたとしても、利用価値のなくなった私ではいつ捨てられるかわからない。
突然捨てられるのが怖いから……せめて惨めにならないように笑顔でお別れしたいところ。



私は背を向けたまま、大きく息を吸った。
それから。




「私、疑問に思ってたんだけど……暁は私の元カレが月城組の人だって、いつから知ってたの?」


つい緊張してしまって、目を見て話せない。
暁はなんて返すのかドキドキしていれば、


「高校入学してすぐくらい」


すぐに答えてくれた。


「え……じゃ、じゃあ、私の元カレが月城組の人だとわかってて自分の家に住まわせてたってこと!?」
「あぁ」


これにもさらっと答えられて、びっくり。
わかったうえで住まわせてくれてたんだ……。

< 169 / 615 >

この作品をシェア

pagetop