月夜に笑った悪魔
いろいろと考えていれば、ごろんと男性は寝返りを打って。
急にこっちを向くから、心臓がドキッとした。
切れ長の目、形のいい唇、すっと通った鼻筋。
顔のパーツがどれも完璧。
ぼんやりとした記憶しかないけれど……こんなに整った顔をしていたのか。
なんか……寝顔は幼いような?
じっと見れば、綺麗な切れ長の目がパチリと開いた。
大きく跳ね上がる心臓。
黒い瞳が私をとらえて、目が合ったまま逸らせない。
「……起きてた」
寝起きだからか少しだけ掠れた低い声。
その声が耳に届いただけでも心臓がドキドキと早鐘を打つ。
なにを言えばいいのか、なにから言えばいいのかわからないでいたら、彼は体を起こして。
私のほうへゆっくり近づいてくると、手を伸ばしてくる。
思わず、ぎゅうっと目を瞑った。