月夜に笑った悪魔


「それは……いつ?いつ、好きになったの……?」


じっと彼を見つめると。



「もう1回キスすれば答えてやるよ」


もちろん口に、と付け足された。


「~~っ!」


ずるい。
答えてくれてもいいじゃんか……!


「教えて……!」
「だからキス1回すれば教えてやるって」


「…………」


本当に、キスするまで教えてくれる気はなさそう。


……知りたい。
どうしても、知りたい……!






「目、瞑って!」


気になった私は彼にそう言って。
「りょーかい」と彼が目を閉じると顔を近づけた。



心臓のドキドキは少しもおさまらない。
加速しすぎて、とにかく熱い。


……心臓の音、暁にまで聞こえちゃいそう。





ゆっくり近づいて、重ねた唇。



触れたのは、やっぱり一瞬。
それでも、唇の感触はしっかり覚えてる。



顔が熱くて、恥ずかしくて……。
両手で顔を隠せば、「美鈴」と名前を呼ばれる。



指の隙間からちらりと彼を見ると、




「おまえ、なんでそんなにかわいーの」


微笑んだ彼が目に入った。

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