月夜に笑った悪魔
さらに激しくなるキス。
絡みついて離さず、私の残されたほんの少しの余裕さえも平気で奪っていく。
「ゃぁっ……んっ」
息を吸いたいと思っても、吸わせてもらえない。
息はあがり、上下する肩。
上気して涙が浮かぶ。
ぼうっとする頭。
ただひたすらキスを受け入れていると、急に離れて……。
私の横髪をさらりと後ろにどけると、体をぐいっとさらに引き寄せ……首に唇を落とした。
「ひゃ……っ!」
びくっと跳ねる体。
それを見た暁は、また体を離して軽く笑う。
「~~っ!」
無意識に彼のシャツをつかんでいた手。
その手を離して、私は少し距離をとった。
「やっぱちゃんと体動かねぇから、続きは帰ったら──」
「しない!」
「今日泊ま──」
「帰る!」
「最後に抱きし──」
「じゃあね!」
彼の言葉をぜんぶ遮って、私は立ち上がり。
すぐに部屋を出た。