月夜に笑った悪魔
「美鈴ちゃん、どうだった?暁起きた?」
突然、聞こえてきた声。
大きく心臓が跳ねて、口から飛び出るかと思った。
顔を上げると、近くにあったソファに蒼真が腰を下ろしている。
「う、うん!起きた!」
慌てて立ち上がって、返事をかえす。
「よかった。ありがとね」
「ううん……!」
「美鈴ちゃんはどうする?泊まってく?それとも帰る?」
「帰る!」
「じゃあ車用意してくるからちょっと待ってて」
「ありがとう……!」
そんな短いやり取りをしたあと蒼真は部屋から出ていって。
私はまたその場にしゃがみ込んだ。
大きく息を吸って、深呼吸。
それを繰り返せば、なんとか心が落ちついたが……それは一時的なもので。
帰りの車内で思い出して、顔が熱くなった。
……本当に、どうしたものか。