月夜に笑った悪魔
「どうやって教えようか」
「私に直接書いてほしい!」
「わかった。じゃあポーチ開けてもいい?」
「うん!」
花柄のポーチを手にって、開けていくと見えたのは。
……ハイブランドの化粧品。
それが、ポーチの中にたくさん。
以前、私も化粧品が好きだったからすぐにわかった。
ハイブランドだらけなんて……すごい。
っていうか、よく見ればポーチも、千梨の鞄もハイブランド。
これは紛れもないお金持ち。
「せ、千梨って何者……?」
新参者の私が聞くのもあれだが、気になったため聞かずにはいられない。
「何者って……うーん。若頭補佐やってるお兄ちゃんの妹?あ、それもそうだけど、一条組の組長補佐の娘って言ったほうがいいのかな!」
彼女は考えたのちに、笑顔で返す。
……一条組の組長補佐。
役職からして、絶対えらい。
今ままで組長への挨拶のことばっかり気にしてたけど……ほかにもえらい人はいるわけで。
私は挨拶とかしなくて大丈夫なんだろうか。
本当に、今さらだけど……。
暁が何も言わないから大丈夫だと思いたい。