月夜に笑った悪魔


すぐに襖は閉められて。


「ほら」


ぽふっと近くに置かれたのは、きれいに畳まれた制服。
それを手に取ると、なんだかいい匂いがした。


もしかして、洗濯された……?


なにがあったのかはわからないけど、本当に恥ずかしい。
私が現在浴衣を着ている、ってことは着替えさせてもらったわけで……。


「あ、ありがとうございます……」


恥ずかしすぎて今すぐ逃げ出したい気持ちだが、ぺこりとお礼。


男性を見れば、彼は普通に私の前で着替えていた。
下着を履いて、黒いシャツに腕を通す。



……私もここで着替えないとだめ、だよね。
本当の本当に、この人がヤクザだったら……いうことを聞かなければ命が危ないかもしれない。

逃げ出したりでもしたら、もうおしまいだ。


私はなにも言うことなく、素早く着替えた。

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