月夜に笑った悪魔
言い返そうと顔を上げる。
けれど……やっぱりその裸体は私には刺激が強すぎて。
またすぐに下を向く。
……裸で目の前に来ないでほしい。
色気が……色気がすごいんだよ。
本当に私より年下かと疑うレベル。
彼は私を見て笑ったあとに「風呂でも入ろっと」と立ち上がり。
私から離れると、カチャカチャと聞こえてきた音。
それは……ベルトをはずす音。
この男、私の目の前でぜんぶ脱ぐ気だ。
「ちょっ、ちょっと待って!私出る!ここから出るからちょっと待って!」
視線を逸らしたまま必死に手をあげた。
それでいったんとまってくれるかと思えば。
「3秒まえー」
と急にはじまるカウントダウン。
えっ。
それは、3秒後に脱ぐ……ってこと!?
3秒しか待ってくれないの!?
そんなことを思ってる間にも、「にー」と聞こえてくる。
私はぐっと足に力を入れて。
今度こそ立ち上がることができた。