月夜に笑った悪魔


言い返そうと顔を上げる。
けれど……やっぱりその裸体は私には刺激が強すぎて。

またすぐに下を向く。



……裸で目の前に来ないでほしい。
色気が……色気がすごいんだよ。


本当に私より年下かと疑うレベル。






彼は私を見て笑ったあとに「風呂でも入ろっと」と立ち上がり。

私から離れると、カチャカチャと聞こえてきた音。


それは……ベルトをはずす音。
この男、私の目の前でぜんぶ脱ぐ気だ。




「ちょっ、ちょっと待って!私出る!ここから出るからちょっと待って!」


視線を逸らしたまま必死に手をあげた。
それでいったんとまってくれるかと思えば。




「3秒まえー」


と急にはじまるカウントダウン。


えっ。
それは、3秒後に脱ぐ……ってこと!?
3秒しか待ってくれないの!?


そんなことを思ってる間にも、「にー」と聞こえてくる。


私はぐっと足に力を入れて。
今度こそ立ち上がることができた。

< 204 / 615 >

この作品をシェア

pagetop