月夜に笑った悪魔
「これ、腕につけてろ」
着替え終わって浴衣を畳むと、腕につけられたもの。
それは、桜の花びらが刻印されている和柄のバングル。
すごく高そうなもの。
それを、私がつけていていいのだろうか。
「来いよ」
ぐいっと手を引っ張られて、立ち上がると部屋を出る暁さん。
板敷き状の通路──縁側を歩いて、どこかへと向かう。
和テイストの大きな家。
木を主として造られていて、大きな庭も目に入る。
ししおどしの音が耳に届いて。
ここはお金持ちの家なんだと確信。
きょろきょろとまわりを見ながら歩いていれば、近くの襖が急に開いて、中から出てきた人物。
「暁~!聞いたわよ~!」
その人は暁さんに抱きつこうとして、頭をガシッとつかんでとめられた。
中から出てきた人物は、金髪のロングヘアをひとつにまとめた男性。
柄物のシャツを着ていて、この人もまた色気がある。
「全く暁ったら!なんてことするのよ!」
「身の危険を感じたから反射的に」
「ひどいじゃない!もぅ!」
2人はそんな会話をして、暁さんは金髪の男性から手を離す。
……金髪の人は、男性、なのかな?
顔がきれいで本当のことはよくわからない。