月夜に笑った悪魔


頭を撫でられた芽依はなんだか嬉しそうに笑って。

……私は、見たくなくて目を逸らした。


心のもやもやは溜まっていくばかり。





「よーし、はやく飲んでどっか行こう!」


絵音はそう言って、いちごシェイクを一気飲み。
私も残りをぜんぶ飲んで、みんな飲み終わるとちゃんとゴミはゴミ箱に捨てた。




「芽依、行きたいところがある……」


暁の袖をくいっと引っ張った芽依。


「じゃあ行こ」


彼がそう返せば、芽依は「こっち」と暁の腕を引っ張った。


まるで、2人で来ているかのような感じ。
芽依に私たちは見えてないんじゃないかって思うくらい。


本当に3人で来なくてよかった。



……暁、くっつかれても抵抗もしないってことは本当は嬉しいと思ってるのかな。
そりゃあ、芽依は可愛いもんね。


小さくて、守ってあげたくなるような子。
それに比べて私は暁の嫌がることをしたり、足を踏んだり暴力的で……可愛さの欠片もない。



……人の気持ちはいつ変わるかわからないものだ。
昨日まで“好き”だったのが、次の日には“嫌い”に変わることもあるわけで。

< 219 / 615 >

この作品をシェア

pagetop