月夜に笑った悪魔


……なんでそんなに不機嫌なんだ。
いいじゃんか、私に知り合いが1人くらいいても。


暁に必ず話さなくちゃいけない、なんてルールはないよね?



……ムカつく男。
自分は他の女の子にくっつかれて抵抗もしないくせに、私がちょっと異性と話してたからって無理やり聞き出そうとするとか……。



昨日からの出来事を思い返せば、もっとムカついてきて。



「なんで私がこんなに言わなくちゃいけないの。暁、浮気してたくせに」


我慢できずに吐き出した。
そうすれば、彼は「はあ?」と返してくる。


なんだその反応。
自分がしていたことの自覚すらないのか、この男は。


あれはもうどう考えても浮気だろう。
……婚約者といっても私たちは付き合ってるわけではない、けど。


私のことを好きだと言ったのは暁だ。



「暁、私に信じさせるとか言いながら不安にさせるようなことしかしないし、こんなんじゃちっとも信じらんない……!なにがしたいの!?」


強めに彼の胸を押すが、やはり力では敵わず。
ビクともしない。

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