月夜に笑った悪魔


声の主は芽依で、彼女はこっちまで来ると暁に横から抱きついた。


……また、この状況。
なんでこんなところを何度も目の前で見せつけられなくてはいけないのか。




力が緩んだ彼の手どけて、私はすぐに暁から離れた。


「美鈴」


名前を呼ばれるけど、私は振り返ることはせず。


「私はお手洗い行ってくるからイチャイチャしてれば……!」


それだけ言って、この場を離れた。







……イライラする。


私に“好き”って言って、暁はまた芽依とくっつくし、なにがしたいのかわからないし……。


私は暁にとって本当に必要な存在なんだろうか。
芽依がいればいいんじゃない?


昨日も今日も2人で仲良くしてるし、私は別にいなくてもよくない?



……芽依のほうが好きなら、私に言えばいいのに。





考えれば考えるほどイライラが溜まってきて、私は走ってトイレを探した。

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