月夜に笑った悪魔
「昨日、なにがあったのか教えてやろうか」
にやりと笑った暁さんは、小型の黒い機械をポケットの中から取り出した。
なんの機械かはわからないが、昨日のことを知りたくてこくりとうなずく。
すると、暁さんは小型の黒い機械をカチッと押した。
『──……住むところ用意してやる。条件付きで』
雑音混じりに聞こえてきたのは暁さんの声。
それは、小型の機械から聞こえてきた。
あの機械は、ボイスレコーダー?
『私、お金1円も持ってないよ?』
次に聞こえてきたのは、私の声。
『金はいらねぇよ』
『住むところだけじゃなくて、ご飯もほしいなぁ』
『いーよ。メシも3食つけてやる』
『救世主!餓死しないですむなら、なんでも条件のむ!』
私と暁さんの会話。
この音声を聞いて、少しよみがえる記憶。
あ、この次の言葉は……。
『俺の嫁になれ』
やっぱり。
今、はっきりと思い出した。