月夜に笑った悪魔
「美鈴、絵音のとこ行け」
繋いだ手を離されて、背中を強く押される。
暁へと目を向けると、彼は……口角を上げていた。
その顔を見て、すぐに思い出した出来事。
それは……月城組である和正を容赦なく殴り続けている、暁の姿。
暁は月城組には一切容赦はしない。
殺すまで、殴り続けるんだ……。
私は暁に手を伸ばして、袖をつかんだ。
……だめだ。
ここで行かせたら、暁が暴走して……もしかしたらとめられないかもしれない。
「あっくん、僕が相手するよ。わざわざあっくんが相手するほどの相手でもないからね」
絵音は階段を下りて暁に言う。
けれど、暁は反応なし。
口角を上げたまま楽しそうに待ってるようにも見える。
そんな……もう暴走しかけてる!?
「あっくん!あっくんってば!」
絵音は強めに暁の肩を叩く。
そうすると、暁はやっとはっと我に返って。
「……なに?」
「もう!僕が相手するからあっくんはすずちゃんといて!」
頬を膨らませて絵音は下へと下りると、近づいてきていた2人と交戦。
絵音は本当に強くて、2人もあっという間に倒した。