月夜に笑った悪魔
足がすくんでしまうような圧。
瞳は真っ黒で、輝きがない。
生気も感じられない。
色白の肌に、目の下にあるクマ。
白髪でマッシュ頭の、黒服に身を包んだその男性。
独特なオーラを放っていて……不気味なほど笑みを浮かべている。
あまりの恐怖でガタガタと体が震えだした。
「今日は一条にオンナがいるっていう噂を直接確かめに来たんだが……まさか本当だったとはな。そうとうこのオンナに入れ込んでんじゃねぇか」
月城岳という男は、反対の手で持った拳銃を私の頬に当てて。
顎に添えた手を滑るように動かす。
頬、唇に触れて……親指が口へと差し込まれる。
「……っ」
抵抗なんかしたら、確実に私の命はない。
この男のまえだとなにもできなくて、されるがまま。
口をこじ開けられ。
長い親指が私の舌と絡み合うように触れ合った。
その間も、頬から拳銃が離されることはない。