月夜に笑った悪魔
目の前の男性は私に触れながら、暁に視線を向け……。
その様子を見て、さらに楽しそうな表情を浮かべた。
隣からはさっきより強く感じる殺気。
……暁はこの月城岳を睨んでいるんだろう。
月城岳は楽しんだあと、やっと私の口から親指を出して。
濡れた指を、ペロリと赤い舌で舐めると。
「その顔だよ、その顔。やっぱ一条はいい顔するなぁ」
あはは、と大きな声をあげて笑う。
それを見た暁は、「……てめぇ」と拳を強く握る。
「なぁ一条……。このオンナ、ここで殺したらおまえはどんな顔するんだ?
泣くか?喚くか?あぁ……想像するだけでもおもしれぇなぁ」
私の頬に当てられていた拳銃は、前髪をさらりとどかすとおでこにピタリと当てられた。
……狂ってる。
暁を怒らせて、楽しむなんて……。
「安心しろよ、今日は殺さねぇから。楽しみはとっておかなくちゃな」
色白の顔が近づいてきて、私は反射的にぎゅっと目を瞑る。
なにをされるのかと思えば……頬にキスをひとつ。